2006年10月20日・涼宮茜聖誕祭記念SS

a little,little,happy

う゛ー、気分は最悪・・・。

 朝からどんよりとした天候。
 ベッドに横になっているのも、別に眠いわけでは無い。

 熱が38度から下がらない。
 当然体はだるい。
 汗もかいちゃって気持ち悪い。


 ・・・つまり、世間一般でいう所の風邪をひいている状態なのだ。


 やっぱり、お風呂上がりに髪を乾かさずに寝ちゃったのが悪かったのかな・・・。孝之さんが「風邪ひくと悪いから乾かしておきなよ」って言ってくれたのに、


 「だーいじょうぶっ。何とかは風邪ひかないっていうでしょ?それに、私が髪を拭かなかったからって、風邪なんかひいたこと、あったっけ?」

 なんて、強がりを言ってみたりしたのが、まずかったのかな・・・?



 そんな訳で、私は今、何もすることなくベッドに横たわっている。

 孝之さんはスカイテンプルにアルバイト。だから、この部屋には一人きり。べつに、一人で居ることが寂しかったことなんてなかったのに。


 やっぱり風邪のせいなのかな。普段の私では考えられないくらい、気分が沈んでいる。あー、ネガティブになっちゃうよぉ・・・。


 でも、なんだかちょっと眠い。薬が効いてきたのかな?んー。はやく孝之さん帰って来ないかなぁ・・・・・・。




 キッチンからカタカタって音がして、私は目を覚ました。もう時間は夕方。カーテンから綺麗な夕日が差し込んでいる。

 「ん・・・。」
 ちょっとのびをしてみる。すると孝之さんが傍にやってきた。

 「あ、起こしちゃったかな?ごめんな、茜」
 「ううん、いいの。寝てばっかりだとなんだか体がなまっちゃう感じがしてさー。」

 なんて強がりを言ってみる。あ、傍にきてから、孝之さん、ずっと手を握ってくれてる。心持ち頬が紅い気がするけど・・・。熱があるせいだって事にしておこう。


 「あ、簡単というか手抜きで悪いんだけど、お粥作ったからさ。食べられるか?」
 「うん、食欲はそれなりにあるから、大丈夫だと思う。」
 「わかった。ちょっと待ってろよ。すぐに持ってくるから。」


 そういうと孝之さんはするりと私の手をほどいて、キッチンへ。仕方ないけど、なんだか残念。


 やがてお粥が運ばれてくる。ほのかに梅の香りがする。だるくてだるくて仕方がないはずなのに、何となく体がお粥を欲してる、そんな感じ。
 孝之さんが軽くよそってくれた。うん、いい香り。


 「病人食なんて滅多に作らないからさ。どうも勝手がわからなくて。電子レンジ使ってお粥を作ってみたんだが・・・。」
 「あー、レンジ粥ね。おかあさんも作ってくれたことあるよ。全然手抜きとか、そんな事ないし。うん。・・・・・・ありがと、孝之さん。」

 あ、ちょっと照れてるな、孝之さん。そんな孝之さんをちらっと見ながら、お粥を口へと運ぶ。


 あ、おいしい。梅と塩の加減が絶妙。なんかいくらでも食べられそう。ついついレンゲを運ぶ手が勢いづいてしまう。


 「おいおい、ゆっくり食べていいからさ、茜。まだ、あるんだから。」

 なんてちょっとあわて気味の孝之さん。


 でもね。


 大切な人が傍にいてくれて。

 私の為に、食事を作ってくれて。

 そして、そっと手を握ってくれて。


 今ね、私幸せだよ。風邪ひいて、体はだるいのに、心は軽いよ。



 ・・・たまには風邪ひいてみるのもいいかも、なんて思ってしまう。
 そんな、ある日の夜のことでした。


 ほんの少し、少しだけの、幸せと共に・・・・・・。

Fin

後書き

 すいません、ベタな看護ネタです(笑)。聖誕祭なのに、風邪っていうのもどうかと思ったのですが、まあそれはそれで勘弁してください。

 普通ですと、逆の視点でSSを書く、というのが常套手段のような気もしますが、今回は時間切れということでごめんなさい(笑)。というか、孝之視点のSSを書く勇気が無いw

 最近では、自分の参考の為に、色々なSSを読みあさってます。それと、ラノベを読む機会が多くなったように感じます。作家さん、SS書きさんの文章を読んで、行間を読んで、色々な想像をしてみることは、自分のSS書きの為にもなりますし、なにより読んでて楽しいんですよね。あっという間に時間が過ぎて、一日が36時間位欲しく感じます(笑)

 それでは。
 SSを最後までご覧頂きまして、本当に感謝致します。ありがとうございました。m(__)m