彼女たちの流儀

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by 130cm

ストーリー

主人公をとりまく蠱惑的な少女たち。
大人の女ではなく、子供でもない彼女たちは、
それぞれの流儀で主人公との恋に立ち会います。
未経験ゆえの衝動的で不器用なやり方―

気持ちよりも先に身体を求める彼女たちに、
とまどい、惹かれ、魅了されて行く主人公。
傷つきやすい少女達が持つ独特の倒錯感は時に切なく、いやらしく―

文化祭までの二十日間を演劇部という舞台で送る青春群像。
それは少女達の織り成す繊細な恋の物語。

ヒロインと愉快な仲間達

兎月 胡太郎(とげつ こたろう)  CV:奥川久美子

 主人公。学園の2年生。母の死に伴い、5年ぶりに白銀家に戻ってくる。誰もが振り向くような可憐な美少女……に見えるが、れっきとした男の子。
 バカな事もするが根は真面目で、やや意気地のない面がある。何をやらせてもそれなりに優秀で、どんな事にも平均以上でそつなくこなす。才能はあるのに、打ち込むものがないため努力をしていない。
 感性で動き、あまり深く物事を考えないタイプ。(軽薄ではない)自分の容姿についても自覚を持っていて、素質だと思って有効活用している。人当たりが良く、環境に適応しやすい。口癖のように人に「バカ」と言う。

白銀 鳥羽莉(しろがね とばり)  CV:涼森ちさと

 朱音の双子の妹。学園の3年生で、演劇部の部長をしている。年齢の割りに華奢で幼い風貌をしているが、見る者を惹きつけずにはいられない美少女。
 高貴で優雅、知的で上品な彼女は、学園においても際立っている.。誰にでも優しく振る舞い慕われているが、全てに発揮される完璧さが恐れ多いのか、一歩距離を置かれている。
 朱音に対して保護者的な感覚を持っており、少し過保護なところがある。逆に再開した胡太郎には、つれない態度をとる。
 時代劇鑑賞が趣味。好きなドラマは「隠密老中」。

白銀 朱音(しろがね あかね)  CV:あさり☆

 鳥羽莉の双子の姉。本来は3年生だが、1年間の病欠で学年がずれて胡太郎のクラスメイトの2年生。生まれつき身体が弱かったが、今は激しい運動さえしなければ普通に生活できる(定期的に通院はしている)。
 天然ボケ気味のおっとりした性格で、舌っ足らずな話し方。どこでもどんな姿勢でも眠れる特技を持ち、1日の半分以上は寝て過ごす。鳥羽莉とは逆にどこか抜けていて、穴だらけの美少女。
 胡太郎と同じく、物事をあまり深く考えず、気分と欲求に素直に従う。部活動には参加しておらず、帰宅部。我侭な性格だが、自分から要求するタイプではなく、直感的に相手を自分の思っている通りに誘導してしまう。本人に悪気はない。

花葉 千佐都(かよう ちさと)  CV:櫻 レオナ

 学園の2年生。胡太郎のクラスメイトで、クラス委員長を務める。真面目で苦労性。おせっかいで面倒見がいい典型的委員長。
 胡太郎とは逆に努力と根性の人。強情な一面があり、嘘をつく事が苦手。意外に体育会系で、物理的にも鋭いツッコミを入れる格闘家。逆に女の子っぽい事は苦手で、壊滅的な家事能力を誇る。
 胡太郎・朱音・五百里と一緒にいる事が多い。




由希 せせり(ゆき せせり)  CV:森川陽子

 学園の1年生で、演劇部に所属している。同じ演劇部の1年生・涼月とは無二の親友。
 元気で一生懸命。爽やかでまっすぐな女の子。時には泣いてしまう事もあるけれど、負けないめげないくじけない。一人称は「ボク」。時折歌を自作しては変なメロディーで歌っている。思い込みが激しく、勝手に勘違いしては暴走してしまう事も。手先が器用で、演劇部では衣装のお針子を担当。
 自分の容姿に自信がなく、鳥羽莉や涼月に憧れている。初恋の相手である胡太郎に告白するも玉砕。それでもめげずに、果敢にアタックを敢行する。

秋名 涼月(あきな すずつき)  CV:紬叶慧

 学園の一年生で、演劇部に所属している。同じ演劇部の1年生・せせりの事をとても大事に想っている。
 小奇麗で人形のようにすました美少女だが、はっきりと言いたい事を言う挑戦的な性格。言葉に容赦がないため、敵を作りやすい。見た目の可愛さから男は寄って来るが、同性には誤解されて嫌われるタイプ。愛想笑いもしないし、お世辞も言わない。自分を飾らない。飾って人の興味を引く事に興味がない。
 胡太郎の事は「ウサギ」と呼んで毛嫌いする。

弓曳 火乃香(ゆみひき ほのか)  CV:春野 萌

 白銀の家の財務を任され、家令(兼家政婦)を勤める。鳥羽莉・朱音姉妹に忠実に仕えるメイドでもある。
 上品で丁寧な物腰だが、つかみ所の無い飄々としたところのある女性。テキパキと仕事をこなし、いかにも有能な雰囲気がある。胸が大きい。
 移動はもっぱらバイク。時間の空いた時にはツーリングを楽しんでいる。
 火乃香の母がクリスチャンだった影響で、火乃香もクリスチャン。首には銀のロザリオを掛けている。

柴原 五百里(しばはら いおり)  CV:なし

 学園の2年生。胡太郎のクラスメイトの男友達。アイドルグループにでもいそうな美少年だが、退廃的で達観した雰囲気を持つ。
 普段は軽薄で軽口ばかり叩くが、時々心に響く大人びた言葉を投げかけてくる。色を抜いた髪にピアス、崩した格好。貢いでくれる社会人のお姉さんたちを何人も抱えていて、彼女らのマンションを転々として暮らしている。
 学校など同世代相手に浮いた話はない。


尾瀬道 櫻子(おぜみち さくらこ)  CV:涼森ちさと

 学園の2年生の女子。佳推のクラスメイト。外見は少し派手目で、流行に敏感な今時の女の子。人の注目を集めるのが好きで、ガンガン前に出るタイプ。演劇部に所属しているのもそのため。
 佳推の魅力に気付いており、普段から後ろに下がりがちな彼女を引っ張っている。

杉浦 佳推(すぎうら かすい)  CV:紬叶慧

 学園の2年生の女子。胡太郎達とは違うクラス。眼鏡でおかっぱの地味な女の子。ソバカスを気にして顔を髪で隠しがちだが、実は眼鏡を外すと結構美少女……というヒロインにもなれる可能性を秘めている。
 いつもは侍女系の控えめなモブキャラを演じている。派手な役が苦手なだけで、実力は高い。

山内 聖児(やまうち せいじ)  CV:なし

 鳥羽莉と同じく学園の3年生の男子。人呼んで仏の山内。恰幅のいい身体に極端に細い目、そして五分刈りが大仏さまの様だから仏と呼ばれる。実家は教会。神学校への入学が夏休み中に既に内定しているため、今でも部活に顔を出している。
 温厚な性格と頼りがいのあるところを買われて副部長を勤めている。

丹波 文雄(たんば ふみお)  CV:なし

 学園の1年生の男子。涼月と同じクラス。胡太郎ほどではないが整った顔だち。目つきは鋭いが顔立ちが幼いのであまり気にならない。人生を自分の好きに楽しむことを目標としており、物怖じしないタイプ。演劇部の上級生にも平気で話しかけるが、鳥羽莉だけは苦手。
 演劇部入部の動機は女の子が沢山いて楽しそうだから。しかし一年で舞台に立つほど演技力は高い。

本題のレビュー

キャラ絵に惚れた


 確かこの作品、秋だったかに秋葉原へ行った時、祖父地図リニューアルオープンだったかで購入したウチの一つなんですよねぇ。特に評判とか関係なしに、完全に絵買いだったんですがw
 原画家さんは、みやま雫さんというんですけど、線が細くてとても綺麗なキャラを描く方ですねー。一発で惚れてしまいましたわ(笑)


萌えと泣きw



何故、タイトルが「流儀」なのかは、進めていくウチに解ります。確かにそれぞれの流儀で主人公を落としていますね。それがヒロインの持つ過去だったり特性だったり性格だったりするわけですが、ほとんどキャラ的に被る事もなく、スムースに進行していきます。
 特にBGMは作品の雰囲気に合っていてGOOD。私はBGM・サウンドと言ったものも作品の一つだと思っていますし、逆にこれがダメだとどんなに素晴らしいシナリオでも色あせてしまうというもの。彼女たちの流儀は、見事にそれぞれの「流儀」にあったサウンドを奏でてくれていると思います。
 個人的に&我が優秀なる義妹・ありさお勧めなのはオープニングの「Red」。メチャクチャいい曲ですわ。サントラ「彼女たちの響」ってのがあるんですが、ついついamazonでクリックして買ってしまったくらいだw


また、作品中に出てくる「月の箱庭」という舞台劇もなかなか面白かったです。普段とは違うヒロインや主人公が、真面目に演劇をしているあたりが好感持てます。

ヒロイン別に思ったのは


やはりメインヒロインは鳥羽莉でしょうねぇ。クリア後のifシナリオ(義妹は「これがTRUEだってば!!」と言ってましたがw)も鳥羽莉のストーリーですし。
 実はサイトの説明にもあるように、鳥羽莉と朱音の姉妹は吸血鬼です。いきなりネタバレっぽい事が書いてありましたけど、でもこれが伏線のようなものですね。
 人と「人ならざるもの」の、せめぎ合い・葛藤・それぞれの想いが、この姉妹のシナリオにはなかなか上手く絡み合ってきていると思いますね。

◆鳥羽莉◆


客観的にはかなりツンな姉です。が、勿論これには理由がある訳でして。主人公は辛く当たられてると思いこんでますけど、これは彼女の「流儀」。幼い頃から想っていた、その気持ちを出すまいとして、演劇同様に主人公の前では「鳥羽莉」を演じている訳です。
 それもやはり、5年前に吸血鬼へ覚醒した自分に対しての気持ち。主人公を想いながらも、「人ならざるもの」は結ばれてはいけないという強い葛藤。それらが入り乱れて、デレが(ほとんど)無いキャラになっている訳ですね。
 というか、冒頭でいきなり主人公とヤッちまいますが、ここでも鳥羽莉は「吸血行動と一緒で、セックスは『食餌(しょくじ)』と同じ、それに弟とするのがどんなものなのか試したかったから」などとクールに言い張っています。
 最初はそんなものなのかと受け止めていましたけど、クライマックスを迎えるにあたり、鳥羽莉の苦しいまでの想いってのが段々と解ってきて、かなり切なくなりました。
 吸血鬼ってのは不老不死という設定ですよね?ということは、仮に主人公と結ばれても、結局は先に相手が逝ってしまう訳で、それが耐えられないというのが鳥羽莉の本音のようですね。エンディングを迎えるにあたっては、主人公を想うあまりに冷たくあしらったりして、全体的に切ない話でした。一応、ラストで再会する訳なんですけど、まぁ流れ的にはそれでも良かったのかな?と。逆に言うと、ifシナリオを存在させる為のストーリーという気がしないでもありませんがw

◆朱音◆


もう天然バリバリ全快の姉ですw ぶっちゃけ、どっちが姉でどっちが弟か解らんくらいです。個人的にははまりましたヽ(;´Д`)ノ
 が、頭の回転は良く、シナリオ中に登場する「月の箱庭」のシナリオを書いたのは実は朱音だった、という設定になっています。でも、本人は演劇は嫌い・・・。なんで嫌いな演劇のシナリオを書いたのか、というのが朱音シナリオの核心のような気がします。
 朱音は幼い頃は病弱で、ほぼ寝たきりの状態でした。いつも主人公や鳥羽莉、幼なじみの千佐都が遊んでいるのをうらやましく思っていた訳で。
 そして、朱音は妹の鳥羽莉の事がすごく好きで。嫌われたら生きていけない位に好きで。でも、舞台女優だった母は嫌いで。当然演劇なんか嫌いで。でも、鳥羽莉が演劇をやるから、だから自分はシナリオを書こうって、そう思ったんですね。
 個人的には、朱音シナリオ大好きなんですよ。笑いあり涙あり、どちらかと言うと笑いの印象の方が大きいんですがw
 エンディング近く、朱音と鳥羽莉が入れ替わって、朱音が舞台に立つシーンがあるんですが、あれはなかなか良かったですねぇ。

◆朱音・おまけ◆

今回とっても印象がでかかったのが、

 「あなうー

でした。あなうーって何だ?って思いますよね?実はこれ、プレイ済みの某氏から「キーワードは『あなうー』だからねっ!!」って言われていたんで、かなり楽しみにしてたんですが、後半に主人公と朱音の「食餌」シーンがあり、そこを鳥羽莉に見つかるシーンがありましてね。

 鳥羽莉「姉さん、何してるの・・・?」
 朱音「んー?あなうーせっくすかな

 ここでようやく「あなうー」の意味が解りましたわw 放送禁止の回避って訳じゃないだろうし(確かア●ルは大丈夫だったはず・・・)、これはもう朱音の性格を表す「朱音語録」なのかなーとw

◆涼月◆

一番先に攻略したのが涼月でした。どう見ても名前じゃなくて名字なんですけどねw
 この涼月、ものすごくツンです。というかツン通り越してドSって感じがします(笑)。でも、勿論それにもちゃんと理由がある訳で、それが涼月の「流儀」って事ですね。
 ただね、個人的には涼月シナリオに関してはあまり印象が無いんですよね、正直なところ。過去に傷を負ってるというのは解ります。兄から近親相姦まがいの事されてますんでね。でも、だからこそ、なんで主人公の事が好きだとか最後に言い出すのかが描写不足というか、ちょっと意味不明w
 なんか気が付いたらエロシーンが来て、女装した主人公とデートしてたりとか・・・。もうちょいがんばって貰いたいなぁと思いましたね。演劇とは全く関係の無いストーリーですしw
 まぁでも涼月自体は好きですよ。なんかこう、髪をわしゃわしゃしたいというか、強気な猫?って感じで(笑)

◆せせり◆

・・・すいません、ぶっちゃけスキップしまくりでした(;^ω^) ボクっ娘属性が全く無いものですから・・・。内容的にも希薄な印象が強いですね。冒頭からせせりは主人公好き好きビームを出しまくってましたが、それに対して主人公も好きになるというインセンティブが理解出来ませんでした。
 ついでに言うとツルペタには萌え無い人なので、エロシーンはとにかくスキップw 気が付いたらエンディングでした。
 全くレビューになっていないんですが、許して下さい。人には得手不得手というのがあるのでw

◆千佐都◆

主人公の幼なじみというありがちな設定(笑) おまけに眼鏡っ子なものですから、オレ的にはもう最初からスキップ候補として真っ先に挙がってましたw
 なぜかって?そりゃ眼鏡っ子といえば某君が望む永遠のまなまn(ry

 まぁ端から見てれば千佐都が主人公に好意を抱いているのはバレバレなんですが、そこはエロゲのお約束です。主人公は気が付かない(というか気が付かないフリをしているという設定)のですが、これもせせりと同様、主人公が千佐都への想いを抱く理由がイマイチ不明確なままストーリーが展開していくのが難点ですな。
 もう完全に作品クリアの為の消化試合的なシナリオだった事は否めません、オレ的にはw

◆火乃香◆

まず最初に感じたのはCVの違和感です。上手い下手では無く、違和感。なんつーか、全くキャラに合ってないんですよね。確かに火乃香の役としては難しいのかもしれませんが、もう少し選定をしっかりやって欲しかったな、と。故に萌え要素は無く、これまた消化試合的要素が強いキャラでした。
 次に、内容が希薄というか、単純明快すぎて・・・。まぁ火乃香が主人公を好きになってしまったのまでは許そう。一応、エロゲーなのだから(笑)。 にしても、それが理由で屋敷を飛び出して、それを主人公が追って、捕まえて・・・。だから何だという展開。演劇との因果関係も全く無く、唯一主人公が演劇に遅れないようにバイクをかっ飛ばして学園に送っていくあたりか?
 一応、送り届けた後に、朱音との絡みもありますが、これはどう考えても火乃香の為というよりは朱音の為の布石にしかならないと感じました。
 ぶっちゃけ、CVは違和感あるというよりも素人さんがやってるのか?位の印象でしたw

◆月の箱庭◆

 これがifシナリオです。以下ネタバレですが若干色を変えてますから、読みたくない場合はそのまますっ飛ばしてくださいw


 物語は鳥羽莉ルートの途中から始まります。鳥羽莉が自分を制御仕切れずに主人公の血を吸ってしまうシーンがあるんですけど、本編では主人公は吸血鬼にはなり得ないとなっていますが、その逆に吸血鬼になっちゃうって流れです。
 そうなれば、不老不死は鳥羽莉と同じですから、まぁハッピーエンドですわな。良かったねー、で終わりそうなものです。
 が、ちょっと辛口に言うならば、オレ的にはご都合主義だなって思いました。確かに鳥羽莉は魅力的ですし、本作品の要は鳥羽莉なんですけど、個人的には本編エンドの方が切ないが故の良さみたいなものを感じました。不老不死の吸血鬼と、ただの人間。でも、主人公と離れた15年の間に、鳥羽莉は吸血鬼だとか姉とかでは無く、主人公を深く深く想う「女性」として現れたのでは無いかと思えるんですよ。だからこそ、オレは本編エンドをお勧めするんですよねー。

まとめ

 割と辛口な部分もありますが、正直なところ、鳥羽莉と朱音ルート以外はほとんど印象に残ってませんでしたw
 全体的にはかなり笑いが散りばめられており、且つ真面目なシナリオもあり、良作だとは思います。特に絵が好きならやっても損は無いと思いますね。
 号泣まではしなかったですが、その代わりに切なくなるような、そんな作品でした。